坂出商工会議所・経営発達支援計画事業評価書(平成30年7月)
Ⅰ.評価にあたっての考え方
当地坂出の小規模事業者数は平成30年3月現在、全事業所(3,033事業所(平成26年経済センサス))の約72%(2,190事業所)を占めている。当地域の活力を下支えする小規模事業者数の維持、創業・第二創業の増加は極めて重要な課題となっている。また、事業承継、働き方改革の推進、ITの導入・推進による効率化・生産性向上など、国が重要施策と位置づけているテーマは、小規模事業者が活力を維持し、次代に逞しく存立するためにも最重要な課題である。
当所が策定した「経営発達支援計画」は平成27年11月に国の認定を受けて、その後5年間にわたって当該事業に取り組んでいくこととなった。29年度は事業実施3年目であり、有識者による評価・反省を踏まえて、事業に取り組んだ。
今般、本計画に掲げた諸事業の実施状況及び成果について、当所と関係の深い有識者による厳正な評価を行い、平成30年度事業実施につなげていく。
Ⅱ.評価方法
評価については、以下の通り実施する。
・詳細な評価書を作成して、坂出市幹部職員・経営支援担当職員、市内金融機関支店長、日本政策金融公庫国民生活事業統括責任者、税理士等の有識者により、事業計画と実績についての客観的な評価をいただく。
・評価は定量及び定性面から行い、第三者の視点での厳正な評価とする。
・有識者の評価・提言をもとに、30年度以降の事業実施の改善案を検討して、今後の事業計画に反映させてい
く。
・事業の成果・評価・見直しの結果については、当所三役・部会長会に報告し、承認を受ける。
・以上の結果を当所HPに掲載するとともに、当所会報に掲載して、域内小規模事業所への周知・PRを実施
する。
Ⅲ.本評価書の構成
「経営発達支援計画」の項目ごとに、事業目標に対する定量及び定性面からの実績を記載する。定性面では実施した事業内容を詳細に説明する。定量面では、掲げた数値目標に対する達成度合いを以下の3段階でランクづけする。
○目標数値を達成した(100%)
△目標達成には至らなかった(50~99%)
×目標達成には更なる努力が必要である(49%未満)
以上を踏まえて、各事業の総括と今後の課題について記載する。
Ⅰ.経営発達支援事業の内容
1.地域の経済動向調査に関すること
当地の経済状況や各業界における小規模事業者の課題を調査・把握して、経営分析・事業計画策定支援などに活用するため、各種調査・分析を実施する。調査結果は当所HPや会報等で公開して、小規模事業者に必要な情報を提供する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
市内景況分析会議 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
小規模企業調査 (回数) |
0 |
1 |
4 |
4 |
4 |
4 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
市内景況分析会議 |
2 |
2 |
○ |
2 |
2 |
○ |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
○ |
4 |
4 |
○ |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
○ |
12 |
12 |
○ |
小規模企業調査 (回数) |
1 |
1 |
○ |
4 |
3 |
△ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
市内景況分析会議※ |
2 |
2 |
○ |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
○ |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
○ |
小規模企業調査 (回数) |
4 |
2 |
△ |
【実施した事業内容】
(1)小規模事業者に関する地域の経済動向調査の実施
初年度、2年度に引き続き、「坂出市内企業の経営実態・要望に関する調査」を実施した。対象は当所が保有するデータより選定した中小企業2,099事業所(中堅企業を含み、大企業を除く)。坂出地域の経営者の意識(現状認識と今後の課題)を定量面から抽出して、今後の事業実施の指針とすることが目的。アンケート郵送方式で実施し、回答率約44.7%であった。過去3回にわたって実施した小規模事業者に関する調査の分析・討議を行い、30年度の事業実施に活用する予定である。
(2)坂出市内景況分析会議の開催※
今年度は諸般の事情により、当該会議は開催しなかった。情報交換会(勉強会)として、香川大学の大藪和雄名誉教授を招いて、統計手法を用いた坂出市産業構造の分析(中小・小規模事業者の動向を含む)を実施した。
(3)中小企業景況調査
小規模事業者の景気動向を把握し、今後の施策立案の基礎資料を収集するため、小規模事業者に対するアンケート調査を計4回実施した。
(4)LOBO調査
小規模事業者の景気動向を把握し、施策立案の基礎資料を収集するため、アンケート調査を計12回実施した。
【今後の課題】
小規模事業者に関する調査については、3年間の集大成となるアンケート調査を実施した。収集した貴重な一次データを十分に活用して、今後の事業展開にいかに活かしていくかが課題となる。他方、調査回数目標(4回)はクリアすることができなかった。今年度は旬のテーマに絞っての調査実施を想定している。テーマ案としては国の中小企業施策の最重要課題である事業承継、働き方改革、ITの導入・活用などが想定される。
2.経営状況の分析に関すること
経営指導員の巡回・窓口相談、セミナーの開催、専門機関等と連携することにより、小規模事業者の経営分析を行う。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
巡回訪問件数 |
全事業者 |
878 |
869 |
全事業者 |
全事業者 |
全事業者 |
セミナー開催回数 |
0 |
1 |
1 |
2 |
2 |
2 |
セミナー参加者数 |
0 |
25 |
25 |
50 |
50 |
50 |
経営分析事業者数 |
10 |
12 |
48 |
60 |
60 |
60 |
フォローアップ訪問件数 |
10 |
12 |
48 |
60 |
60 |
60 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
巡回訪問件数 |
878 |
730 |
△ |
869 |
767 |
△ |
セミナー開催回数 |
1 |
2 |
○ |
1 |
2 |
〇 |
セミナー参加者数 |
25 |
16 |
△ |
25 |
17 |
△ |
経営分析事業者数 |
12 |
83 |
○ |
48 |
121 |
〇 |
フォローアップ訪問件数 |
12 |
83 |
○ |
48 |
121 |
〇 |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
巡回訪問件数 |
全事業者 |
957 |
☓ |
セミナー開催回数 |
2 |
3 |
○ |
セミナー参加者数 |
50 |
78 |
○ |
経営分析事業者数 |
60 |
101 |
○ |
フォローアップ訪問件数 |
60 |
101 |
○ |
※坂出市内の事業所数は、3,033事業所(平成26年経済センサスより)。平成30年3月現在の小規模事業者数は、2,190事業所。内、坂出商工会議所会員(1,131事業所)の小規模事業者数は、869事業所。
【実施した事業内容】
(1)経営指導員による事業所訪問の実施並びに相談窓口対応
経営指導員が各担当地区の小規模事業者を訪問し、当所事業の周知・経営課題の抽出・国等の各種施策の情報
提供を行った。また、専門家派遣事業(中小機構四国本部、香川県よろず相談拠点)等を活用して、専門家と連
携。専門的な経営上の悩みに対して、より丁寧にサポートを実施した。
(2)セミナーの開催等による「経営分析」の実施
「小規模事業者持続化補助金」申請を視野に入れた「経営分析・事業計画策定セミナー」を計2回開催した。
各種分析手法を活用して経営全般の見直し、事業計画の策定を希望する小規模事業者の掘り起こしを行った。
(3)経営指導員による経営分析の実施
「小規模事業者持続化補助金」の申請書作成時、マル経融資等の推薦書作成時等に経営分析を行った。
【今後の課題】
経営分析事業者数は、①持続化補助金申請者、②マル経融資等申込者を合計したものである。数値目標は達成することができたが、経営分析から事業計画策定につなげることができなかった事業所も少なからずあった。フォローアップの徹底が引き続きの課題となる。
29年度は、従来の基本的な経営分析に加えて、「ものづくり等補助金」や「経営力向上計画」の認定で要求される極めて高度な経営分析を要求する事業所が増加傾向にあった。高度な経営支援に対応するため、支援担当者の資質向上に努めるとともに、地域金融機関や専門家(中小企業診断士や税理士を想定)とも十分に連携して対応できる体制を早急に整備することが喫緊の課題である。
3.事業計画策定支援に関すること
事業者が経営課題を解決するため、経営分析の結果を踏まえつつ、地域金融機関・支援機関とも連携して、
事業計画策定支援を行う。創業については、地域経済の活力の源泉である小規模事業者の創業を促進するため、
創業支援セミナーを開催する。個別相談においても、公的金融機関や創業支援機関と連携し、創業までの手厚
い支援を行う。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
セミナー開催回数 |
5 |
6 |
7 |
8 |
8 |
8 |
事業計画策定事業者数 |
5 |
10 |
15 |
20 |
25 |
30 |
創業支援者数 |
5 |
10 |
15 |
20 |
25 |
30 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
セミナー開催回数 |
6 |
9 |
○ |
7 |
12 |
○ |
事業計画策定事業者数 |
10 |
38 |
○ |
15 |
24 |
○ |
創業支援者数 |
10 |
19 |
○ |
15 |
19 |
○ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
セミナー開催回数 |
8 |
8 |
○ |
事業計画策定事業者数 |
20 |
33 |
○ |
創業支援者数 |
20 |
5 |
☓ |
【実施した事業内容】
(1)各種講習会・セミナーの開催
経営者・管理者・若手新人社員等幅広い層を対象に実践的なセミナーを開催した。「企業活力向上セミナー(3
回シリーズ)」をはじめ、事業計画策定に役立つ様々な講習会・セミナーを開催した。
(2)「小規模事業者持続化補助金」等への積極的な取り組み
国の重点事業「小規模事業者持続化補助金」に積極的に取り組んだ。経営指導員は小規模事業者と一体として
取組み、事業計画を作り上げ、販路拡大等への取り組みを支援した。21業所が申請、8事業所が採択を受けた。
(3)ワンストップ創業相談窓口の設置
坂出市より認定を受けて、ワンストップ創業相談窓口を設置し、経営指導員が創業に至るまでワンストップ支
援を実施した。また、地元金融機関・日本政策金融公庫と連携し、創業資金のあっせんを実施した。
【今後の課題】
セミナー開催回数及び事業計画策定事業者数については数値目標を達成することができたが、創業支援者数については目標数値に及ばなかった。
事業計画策定については、昨年度に引き続き持続化補助金などの申請及びマル経融資における推薦書作成に係る事業計画支援が多数を占めた。ただし、傾向として高度な経営分析に基づく事業計画策定を要求する事業所が増加しており、今後は3~5年の売上・利益目標を見据えた本格的な事業計画(中期経営計画)策定を支援する体制構築が課題となる。
創業支援については、坂出市より認定を受けて「ワンストップ創業相談窓口」を設置して、坂出市及び創業支援機関と連携して手厚い支援を実施した。特定の課題を抱えて来所した創業希望者を捉えて、複数の視点よりアドバイスを実施した結果5事業所が創業を果たした。数値目標は達成することができなかったが、今後も金融支援にとどまらず、分厚い支援をするよう心掛ける。同時に創業支援者数を増加させるために、創業希望者を集めたセミナーの復活なども検討する必要があると考える。
4.事業計画策定後の実施支援に関すること
作成した事業計画が向こう3~5年のアクションプランとして十分に機能するとともに、金融機関への融資申込時等に活用できる実現可能・妥当な計画であることを担保するためのフォローアップを行う。第二創業(経営革新)支援については、小規模事業者の各発展ステージに応じた伴走型の支援を実施する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
第二創業支援者数 |
15 |
15 |
25 |
25 |
30 |
30 |
フォローアップ件数 |
10 |
20 |
30 |
40 |
50 |
60 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
第二創業支援者数 |
15 |
18 |
○ |
25 |
16 |
△ |
フォローアップ件数 |
20 |
18 |
△ |
30 |
16 |
△ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
第二創業支援者数 |
25 |
8 |
☓ |
フォローアップ件数 |
40 |
9 |
☓ |
【実施した事業内容】
(1)事業計画策定事業所へのフォローアップ
「小規模事業者持続化補助金」の採択先に対して、策定した事業計画が中期経営計画として実効性を持つとともに、補助事業を適正に実施するための支援を行った。
【今後の課題】
第二創業支援者数は①持続化補助金採択者、②経営再生計画支援者を合計したものである。その他、窓口及び事業所訪問時に随時、経営革新・事業転換・多角化・事業縮小等の相談を受けて支援を行っているが、具体的な事業計画策定にはつながっていないため、件数にはカウントしていない。今後は、補助金や融資実行目的だけでなく、補助金採択後や融資実行後の事業実施のフォローを強化していきたい。
フォローアップ件数、第二創業支援者数ともに目標件数をクリアすることはできなかった。今年度は、第二創業(新事業分野創出)や事業計画策定者のフォローアップにとどまらず、喫緊の課題である事業承継に取り組む事業者への支援、IT導入・活用支援、働き方改革推進支援などを通じて、経営分析・事業計画策定支援からフォローアップに至るまでワンストップ支援に取り組み、件数獲得につなげていきたい。
「小規模事業者経営発達支援融資制度」の活用については、日本公庫と連携して利用者アップに取り組んでいるが、今年度については融資実行には至らなかった。30年度は再び利用者アップに取り組み、小規模事業者の第二創業支援に寄与したいと考える。
5.需要動向調査に関すること
小規模事業者が販売する商品・製品・サービスについての重要の動向を調査・分析することにより、小規模事業者に対する経営分析・事業計画策定支援に活用する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
調査件数 |
0 |
12 |
48 |
48 |
48 |
48 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
調査件数 |
12 |
6 |
△ |
48 |
5 |
× |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
調査件数 |
48 |
0 |
× |
【実施した事業内容】
(1)経営指導員による需要動向調査・分析
専門家・専門機関と連携して、支援要請のある小規模事業者の属する業種・業態の市場・需要動向調査を行
った。
【今後の課題】
目標数値を達成することはできなかった。そもそも需要動向調査(マーケティングリサーチ等)の依頼自体が
少なかった。調査結果は報告書として書面化して依頼先に配布することが要件となっている。今後はこの点も徹
底することが必要である。
経営者は、自社の課題については十分認識していると考えられるので、マケプラなどを活用した商圏分析や、
専門家派遣のスキームを活用して、事業所の調査に対する需要を掘り起こす努力を行っていきたい。
6.新たな需要の開拓に寄与する事業に関すること
産業のまち・坂出をアピールし、小規模事業者の有する隠れた地域資源の掘り起し・PRを実施するため、
イベント(展示会等)を開催する。また、専門機関等と連携して、小規模事業者のホームページ作成・リニュ
アルの支援等を行い、ICTを活用した販路開拓の支援を実施する。小規模事業者の海外進出を支援する。
【目 標】
項 目 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
展示会開催回数 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
来場者数 |
3,000 |
4,000 |
5,000 |
6,000 |
7,000 |
8,000 |
バイヤー来場者数 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
出展支援者数 |
30 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
30 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
【実 績】
項 目 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
展示会開催回数 |
2 |
1 |
△ |
2 |
3 |
○ |
来場者数 |
4,000 |
9,000 |
○ |
5,000 |
20,000 |
○ |
バイヤー来場者数 |
2 |
0 |
× |
2 |
4 |
〇 |
出展支援者数 |
30 |
27 |
△ |
35 |
37 |
〇 |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
30 |
17 |
△ |
35 |
40 |
〇 |
項 目 |
3年目 |
実績 |
評価 |
展示会開催回数 |
2 |
2 |
○ |
来場者数 |
6,000 |
30,000 |
○ |
バイヤー来場者数 |
2 |
50 |
○ |
出展支援者数 |
40 |
21 |
△ |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
40 |
57 |
○ |
【実施した事業内容】
(1)「さかいで産業展示交流フェア2017」等の開催
29年度で6回目となる「さかいで産業展示交流フェア2017」を開催した。地域内の事業所がもつ優れた商品(製品)・技術・サービスを内外にPRし、出展者同士の交流(ビジネスマッチング)の場を提供することで販路開拓や優秀な人材の確保、地域活性化につなげることを目指した。出展者のうち小規模事業者は17事業所。また、高松で開催された「香川産業マッチングフェア」に出展した。出展者のうち小規模事業者は3事業所。
(2)小規模事業者のICT導入・強化の支援
ICTを活用した販路開拓を支援するためのプラスIT活用セミナー(計2回)を開催した。また、「IT導入補助金」の活用を推進することで、大企業・中堅企業と比べて相対的に劣位にある小規模事業者の生産性向上・効率化支援に取り組んだ。
【今後の課題】
平成24年度にスタートした「さかいで産業展示交流フェア」は、地域内の事業所の販路開拓・売上アップを目指して開催しているが、当地恒例の目玉イベントとして定着している。小規模事業者にとって、自慢の商品・サービスをPRする格好の機会となっている。今年度は、バイヤーの来場もあり、出展者との情報交換を実施した。
これ以外に全国展開を目指す事業者を支援すべく、高松で開催される展示会の出展支援を行った。
また、小規模事業者にとって最重要課題の一つであるIT導入・活用支援について、「IT導入補助金」の活用を積極的に推進した。今年度は、大企業・中堅企業と比べて相対的に劣位にある小規模事業者の生産性向上・効率化支援を図り、格差是正に向けた取組みを推進していきたい。同時に、IoTなど最新の技術を活用して小規模事業者のバックオフィスの効率化の可能性も追求したい。同時に、IT活用により本事業の眼目である売上増・販路拡大につなげていきたい。
Ⅱ.地域経済の活性化に資する取組
1.地域活性化事業
JR坂出駅前・商店街等を会場に、小規模事業者が主体となる定期的なイベント(自社PRの場)を開催し、
地域経済活性化を目指す。地域の多様な機関が参加し、地域の方向性を関係者間で共有するための意見交換会
等を実施する。
【目 標】
項目 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
開催回数 |
15 |
15 |
15 |
15 |
15 |
15 |
出展者数 |
20 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
来場者数 |
1,000 |
1,200 |
1,400 |
1,600 |
1,800 |
2,000 |
【実 績】
項目 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
開催回数 |
15 |
16 |
○ |
15 |
23 |
○ |
出展者数 |
30 |
53 |
○ |
35 |
50 |
○ |
来場者数 |
1,200 |
2,400 |
○ |
1,400 |
3,000 |
○ |
項目 |
3年目 |
実績 |
評価 |
開催回数 |
15 |
27 |
○ |
出展者数 |
40 |
68 |
○ |
来場者数 |
1,600 |
2,400 |
○ |
【実施した事業内容】
(1)駅近「さかいで楽市楽座」の開催
毎月1回、JR坂出駅周辺を会場に、「市で賑わいがあるまちづくり」をテーマに、当所会員事業所・起業予定者等より出展者を募り、イベントを開催した。
(2) 「バルin SAKAIDE」の開催
市内小規模事業者(特に、飲食業)の利用拡大を目的として「バルin SAKAIDE」を計3回開催した。
(3) 「第4土曜デー」の開催
恒例の「第4土曜デー」も12回開催して、中心商店街の活性化に取り組み、中心市街地のにぎわい創出に寄与した。
【今後の課題】
当所青年部が中核となって、精力的に様々なイベントを実施した。特に、3回目となる「バルin Sakaide」は夏を彩る大人気イベントとして定着し、市内外から多くの来客数を獲得した。
目標数値は概ね達成したものの、事業が小規模事業者の販路拡大に結び付いているかどうかは引き続き厳密な検証が必要である。地域活性化という当所の使命(ミッション)の中で、本事業の目標(小規模事業者の販路拡大)をいかに織り込んでいくか。定量的な評価指標をいかに確立するかが課題である。
Ⅲ.経営発達支援事業の円滑な実施に向けた支援力向上のための取組み
Ⅰ.他の支援機関との連携を通じた支援ノウハウ等の情報交換に関すること
地域金融機関、連携支援機関、日本政策金融公庫及び専門機関・専門家と連携して、当所が収集・分析した
情報を提供するとともに意見交換を実施し、連携体制の確立を図る。
【実施した事業内容(会議への出席)】
①商工会議所中小企業相談所長会議
②日本公庫(国民生活事業)担当者との勉強会
③小規模事業者経営改善資金貸付団体連絡協議会への出席
④かがわ産業支援財団支援者会議
⑤創業支援機関担当者連絡会(坂出市)
【今後の課題】
他の支援機関との連携の中で、経営発達をテーマとした意見交換や情報収集を充実させることが課題である。特に、創業支援においては坂出市や金融機関との協働が必須の課題である。
2.経営指導員等の資質向上等に関すること
日本商工会議所・香川県商工会議所連合会が主催する研修への参加に加え、経営発達計画のマネジメントを
行うことを目的に、支援担当職員の支援能力の向上を図る。
【実施した事業内容(研修等への参加)】
①スーパーバイザー事業
②香川県下6商工会議所経営支援事業担当職員研修会
③商工会議所経営指導員全国研修会(支援力向上全国フォーラム)
④経営指導員向け小規模事業者支援研修(個社支援型・地域支援型)
⑤支援担当職員の自主勉強会
⑥経営安定対策事業研修会
【今後の課題】
毎年恒例の支援担当者向け研修会のみならず、小規模事業者支援に特化した研修会にも積極的に職員を派遣し
た。職員の自主勉強会を開催して、IOT等(人工知能)の支援ツールを活用した最新の支援手法の習得に努め
た。特に、中堅支援担当者が専門家(岩倉中小企業診断士)のアドバイスを受けながら、実際に小規模事業者の
経営診断を行う「スーパーバイザー事業」に取り組み、2事業所に対して、本格的な経営診断と経営上の提案を
行った。
既述の通り、管内小規模事業者より当所(経営支援担当者)に対して、「ものづくり等補助金」申請支援や「経
営力向上計画」策定支援、「経営革新計画」認定支援など極めて高度な経営分析・事業計画策定が必須となる支援
の要請が増加している。本事業の根幹となる経営分析・事業計画策定支援を果たすためにはこれらのニーズに対
して対応することのできる体制を整備することが必要となる。支援担当者の能力向上に取り組むと同時に、地域
金融機関や専門家(税理士や中小企業診断士を想定)との連携強化に取り組むことが必須である。同時に、今年
度は「伴走型小規模事業者支援推進事業補助金」を活用して、国より「経営革新等支援機関」の認定を受ける取
組みも実施していく予定である。
また、中小企業・小規模事業者にとっても喫緊の課題である事業承継、IT導入・活用支援、働き方改革推進
などについても情報収集を行い、支援を強化する体制を強化していきたい。
まとめ
当所は、新坂出商工会館への移転を機に、新会館が地域経済発展の拠点・情報発信基地としての機能を発揮して事業所に親しまれ、地域商工業の振興・地域社会の発展に貢献できるように努力して参りたい。今年度の事業計画の柱の一つである中小企業(小規模事業者)の活力強化に積極的に取り組んでいく。
現在、企業を取り巻く経営環境は厳しさを増すと同時に、課題は多様化・深層化する傾向にある。当所は中小企業・小規模事業者の経営実態を把握するために3回にわたりアンケート調査を実施してきた。さらに真の経営課題・当所に対するニーズを把握するために、きめ細かな事業所への巡回訪問(御用聞き型企業訪問)を徹底していく。双方向でのコミュニケーションを徹底することにより、事業所の直面する課題をつかんで、きめ細かくスピード感を持って取り組んでいきたい。「共に走り、解を出し、成果を上げる」を心がけていく。
今年度、事業の目標数値を達成できなかった項目については、その原因を追究して30年度の事業実施に反映していきたい。経営支援を担当する経営指導員・経営支援員の連携を今以上に緊密にして、「情報共有・見える化」を徹底していきたい。
有識者の意見
Ⅰ.経営発達支援事業の内容
●経営状況の分析に関すること
・経営支援担当の職員の方の苦労は身に染みて分かります。全事業者を訪問しても、全事業者の役に立つわけでは
ない。本当に支援を欲している事業所はその一部ということになる。それでも事業所の支援ニーズをつかむために何かしらの発信は続けていく必要はあると思う。御用聞き型巡回を通じて、「何か困りごとはありませんか」と聞いて回ることでコミュニケーションを図ることが大切。その先に問題の解決がある。その手段として、セミナーやバルなどのイベント実施ということになってくる。様々な手段を講じることで事業所の問題解決につなげていってほしい。
・巡回訪問に関して、達成可能な件数(ノルマ)なのか。全事業者を訪問するのであれば、1日に10件くらい訪問しないと達成不可能な件数である。何が目的なのか。例えば融資実行なのか、補助金受給なのか。巡回訪問はあくまで目的達成のための手段である。目的達成のプロセスを評価することが必要なのではないか。金融機関も結果主義からプロセス重視に比重(評価体系)が移りつつある。事業計画策定件数が最終目標ではなく、計画策定を通じて達成するべき目標に到達するプロセスを見た方がいい。
●事業計画策定支援に関すること
・商工会議所はどうしても既存の事業支援が中心になると思うが、今後は新規創業支援にも力を入れていくことが必要ではないか。既存の企業は年々年を取り、現実に後継者不足から辞めていく事業所も多い。今後は創業支援セミナーのような創業支援希望者の動機づけも必要だと思う。
・創業支援の中で5社が実際に創業に至っているが、28社は創業に至っていないということで、その理由が気になるところである。真因は何か。
・事業計画策定はもちろん必要だが、そこに力が入りすぎて、現場が見えなくなっているのではないか。机上の計画策定に注力しすぎるのではなく、企業訪問に軸足を置くことが大切だと思う。経営者は常に不安を抱えている。相談者が来てくれれば、力強く感じると思う。何も用事がなくても訪問するというスタンス(御用聞き型)がよいのではないかというのが実感である。
●事業計画策定後の実施支援に関すること
・第二創業支援者数については、16件の実績がある。香川県全体を見ても、経営革新計画認定が年間10件程度
しかなく、近年は事業縮小や事業転換の案件が多いと思われる中で、(補助金申請数などをカウントに入れているとしても)よく健闘している。目標設定のハードルが高い中でよくがんばっているが、実現可能な数値に置換することができるのであれば、その方が(見栄えが)よいのではないか。
Ⅱ.地域経済の活性化に関すること
●地域活性化事業
・地域経済の活性化については、他市と比較してもよく活動ができていると思う。イベント数も参加者数も多いと感じる。
・地域活性化事業(特に「バルin SAKAIDE」)の販路拡大に対する寄与の検証が必要であるということだが、具体的に(定量的な)検証ができているかどうか気になるところである。
Ⅲ.経営発達支援事業の円滑な実施に向けた支援力向上のための取組み
●他の支援機関との連携を通じた支援ノウハウ等の情報交換に関すること
・地域金融機関との連携(ネットワーク推進)について。金融機関も連携を望んでいるが、現実的にうまく進んでいない。連携の推進について、一緒に考えていかなければならないと考えている。
・連携に関して。小規模事業所が地域で存立していくためには、様々な課題があるはずである(開業資金のあっせん、販売先の開拓、税務申告、経営内容の診断など)しかし、創業前後で、地域に馴染みのない方はどこに相談して行けばいいか分からないはずである。そういう方のために、これまで経営支援に携わってこられた経営指導員の方の目利きで、「つなげていく」ことができると思う。全てを商工会議所で完結する必要はないのであって、専門家への引継も大切な仕事なのではないか。(ハブとしての機能を果たすことができる存在である)
・各事業間の有機的なつながりはあるのか。例えば、御用聞き型巡回やアンケート調査で人手不足が問題になっていることが分かれば、そのテーマでセミナーを開催する。経営分析から事業計画策定につなげていく。フォローアップを実施する。一連の支援活動の中で、各事業間のつながりを大切にすることが必要であり、効果的ではないか。広く浅く単発の支援をするよりも、やる気のある方に的確な深い支援をしていくことが結果的には効果大であると考える。
●経営指導員等の資質向上等に関すること(その他自由意見を含む)
・目標設定の妥当性はもう一度検証・整理した方がいいのではないか。何を狙っているのか。何ができればOK(目標達成)ということになるのか。せっかく頑張っているにもかかわらず、目標の立て方が原因になってできていないように見えるのは、もったいないと感じる。例えば、アンケート調査にしても回数をこなすことが目的ではなく、どれだけニーズを拾うことができるかが大切なはずである。
・限られた人員の中で、よく頑張っていただいていると感じている。
坂出商工会議所
「経営発達支援計画」事業評価会議
1.日 時 平成30年7月26日(木)10時~
2.場 所 坂出商工会館4F403会議室
3.議 題 ①平成29年度経営発達支援事業について
②評価・ご意見
③その他
4.出席者 12名(事務局5名を含む)
川滝 浩嗣 坂出商工会議所専務理事(座長)
三野田耕治 坂出市商工特産係長
和田めぐみ 日本政策金融公庫高松支店支店長兼国民生活事業統括
大森 和幸 四国税理士会坂出支部長
宮武 幸司 百十四銀行坂出支店長
曽我部昌弘 高松信用金庫坂出支店長
古枝 直輝 香川銀行坂出支店長
(事務局) 5名 (敬称略・順不同)
坂出商工会議所 三役会
1.日 時 平成30年8月1日(水)10時~
2.場 所 坂出商工会館4F会頭・副会頭室
3.議 題 ①平成29年度経営発達支援事業について
②評価・ご意見
③その他
4.出席者 5名(会頭、副会頭2名、専務理事、事務局長)
①平成29年度経営発達支援事業について
資料の「事業評価書(案)」により、平成29年度事業実施状況について詳細に説明した。正副会頭からは、評価会議での評価を踏まえ、「事務局はよく頑張っている。引き続き、指摘された事項を踏まえて30年度事業に取り組んでほしい」と指示を受けた。
坂出商工会議所・経営発達支援計画事業評価書(平成30年7月) [wpdm_file id=129] PDF形式
坂出商工会議所 経営発達支援計画
平成29年度 事業評価書
平成30年7月
Ⅰ.評価にあたっての考え方
当地坂出の小規模事業者数は平成30年3月現在、全事業所(3,033事業所(平成26年経済センサス))の約72%(2,190事業所)を占めている。当地域の活力を下支えする小規模事業者数の維持、創業・第二創業の増加は極めて重要な課題となっている。また、事業承継、働き方改革の推進、ITの導入・推進による効率化・生産性向上など、国が重要施策と位置づけているテーマは、小規模事業者が活力を維持し、次代に逞しく存立するためにも最重要な課題である。
当所が策定した「経営発達支援計画」は平成27年11月に国の認定を受けて、その後5年間にわたって当該事業に取り組んでいくこととなった。29年度は事業実施3年目であり、有識者による評価・反省を踏まえて、事業に取り組んだ。
今般、本計画に掲げた諸事業の実施状況及び成果について、当所と関係の深い有識者による厳正な評価を行い、平成30年度事業実施につなげていく。
Ⅱ.評価方法
評価については、以下の通り実施する。
・詳細な評価書を作成して、坂出市幹部職員・経営支援担当職員、市内金融機関支店長、日本政策金融公庫国民生活事業統括責任者、税理士等の有識者により、事業計画と実績についての客観的な評価をいただく。
・評価は定量及び定性面から行い、第三者の視点での厳正な評価とする。
・有識者の評価・提言をもとに、30年度以降の事業実施の改善案を検討して、今後の事業計画に反映させてい
く。
・事業の成果・評価・見直しの結果については、当所三役・部会長会に報告し、承認を受ける。
・以上の結果を当所HPに掲載するとともに、当所会報に掲載して、域内小規模事業所への周知・PRを実施
する。
Ⅲ.本評価書の構成
「経営発達支援計画」の項目ごとに、事業目標に対する定量及び定性面からの実績を記載する。定性面では実施した事業内容を詳細に説明する。定量面では、掲げた数値目標に対する達成度合いを以下の3段階でランクづけする。
○目標数値を達成した(100%)
△目標達成には至らなかった(50~99%)
×目標達成には更なる努力が必要である(49%未満)
以上を踏まえて、各事業の総括と今後の課題について記載する。
Ⅰ.経営発達支援事業の内容
1.地域の経済動向調査に関すること
当地の経済状況や各業界における小規模事業者の課題を調査・把握して、経営分析・事業計画策定支援などに活用するため、各種調査・分析を実施する。調査結果は当所HPや会報等で公開して、小規模事業者に必要な情報を提供する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
市内景況分析会議 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
12 |
小規模企業調査 (回数) |
0 |
1 |
4 |
4 |
4 |
4 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
市内景況分析会議 |
2 |
2 |
○ |
2 |
2 |
○ |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
○ |
4 |
4 |
○ |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
○ |
12 |
12 |
○ |
小規模企業調査 (回数) |
1 |
1 |
○ |
4 |
3 |
△ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
市内景況分析会議※ |
2 |
2 |
○ |
中小企業景況調査(回数) |
4 |
4 |
○ |
LOBO調査 (回数) |
12 |
12 |
○ |
小規模企業調査 (回数) |
4 |
2 |
△ |
【実施した事業内容】
(1)小規模事業者に関する地域の経済動向調査の実施
初年度、2年度に引き続き、「坂出市内企業の経営実態・要望に関する調査」を実施した。対象は当所が保有するデータより選定した中小企業2,099事業所(中堅企業を含み、大企業を除く)。坂出地域の経営者の意識(現状認識と今後の課題)を定量面から抽出して、今後の事業実施の指針とすることが目的。アンケート郵送方式で実施し、回答率約44.7%であった。過去3回にわたって実施した小規模事業者に関する調査の分析・討議を行い、30年度の事業実施に活用する予定である。
(2)坂出市内景況分析会議の開催※
今年度は諸般の事情により、当該会議は開催しなかった。情報交換会(勉強会)として、香川大学の大藪和雄名誉教授を招いて、統計手法を用いた坂出市産業構造の分析(中小・小規模事業者の動向を含む)を実施した。
(3)中小企業景況調査
小規模事業者の景気動向を把握し、今後の施策立案の基礎資料を収集するため、小規模事業者に対するアンケート調査を計4回実施した。
(4)LOBO調査
小規模事業者の景気動向を把握し、施策立案の基礎資料を収集するため、アンケート調査を計12回実施した。
【今後の課題】
小規模事業者に関する調査については、3年間の集大成となるアンケート調査を実施した。収集した貴重な一次データを十分に活用して、今後の事業展開にいかに活かしていくかが課題となる。他方、調査回数目標(4回)はクリアすることができなかった。今年度は旬のテーマに絞っての調査実施を想定している。テーマ案としては国の中小企業施策の最重要課題である事業承継、働き方改革、ITの導入・活用などが想定される。
2.経営状況の分析に関すること
経営指導員の巡回・窓口相談、セミナーの開催、専門機関等と連携することにより、小規模事業者の経営分析を行う。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
巡回訪問件数 |
全事業者 |
878 |
869 |
全事業者 |
全事業者 |
全事業者 |
セミナー開催回数 |
0 |
1 |
1 |
2 |
2 |
2 |
セミナー参加者数 |
0 |
25 |
25 |
50 |
50 |
50 |
経営分析事業者数 |
10 |
12 |
48 |
60 |
60 |
60 |
フォローアップ訪問件数 |
10 |
12 |
48 |
60 |
60 |
60 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
巡回訪問件数 |
878 |
730 |
△ |
869 |
767 |
△ |
セミナー開催回数 |
1 |
2 |
○ |
1 |
2 |
〇 |
セミナー参加者数 |
25 |
16 |
△ |
25 |
17 |
△ |
経営分析事業者数 |
12 |
83 |
○ |
48 |
121 |
〇 |
フォローアップ訪問件数 |
12 |
83 |
○ |
48 |
121 |
〇 |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
巡回訪問件数 |
全事業者 |
957 |
☓ |
セミナー開催回数 |
2 |
3 |
○ |
セミナー参加者数 |
50 |
78 |
○ |
経営分析事業者数 |
60 |
101 |
○ |
フォローアップ訪問件数 |
60 |
101 |
○ |
※坂出市内の事業所数は、3,033事業所(平成26年経済センサスより)。平成30年3月現在の小規模事業者数は、2,190事業所。内、坂出商工会議所会員(1,131事業所)の小規模事業者数は、869事業所。
【実施した事業内容】
(1)経営指導員による事業所訪問の実施並びに相談窓口対応
経営指導員が各担当地区の小規模事業者を訪問し、当所事業の周知・経営課題の抽出・国等の各種施策の情報
提供を行った。また、専門家派遣事業(中小機構四国本部、香川県よろず相談拠点)等を活用して、専門家と連
携。専門的な経営上の悩みに対して、より丁寧にサポートを実施した。
(2)セミナーの開催等による「経営分析」の実施
「小規模事業者持続化補助金」申請を視野に入れた「経営分析・事業計画策定セミナー」を計2回開催した。
各種分析手法を活用して経営全般の見直し、事業計画の策定を希望する小規模事業者の掘り起こしを行った。
(3)経営指導員による経営分析の実施
「小規模事業者持続化補助金」の申請書作成時、マル経融資等の推薦書作成時等に経営分析を行った。
【今後の課題】
経営分析事業者数は、①持続化補助金申請者、②マル経融資等申込者を合計したものである。数値目標は達成することができたが、経営分析から事業計画策定につなげることができなかった事業所も少なからずあった。フォローアップの徹底が引き続きの課題となる。
29年度は、従来の基本的な経営分析に加えて、「ものづくり等補助金」や「経営力向上計画」の認定で要求される極めて高度な経営分析を要求する事業所が増加傾向にあった。高度な経営支援に対応するため、支援担当者の資質向上に努めるとともに、地域金融機関や専門家(中小企業診断士や税理士を想定)とも十分に連携して対応できる体制を早急に整備することが喫緊の課題である。
3.事業計画策定支援に関すること
事業者が経営課題を解決するため、経営分析の結果を踏まえつつ、地域金融機関・支援機関とも連携して、
事業計画策定支援を行う。創業については、地域経済の活力の源泉である小規模事業者の創業を促進するため、
創業支援セミナーを開催する。個別相談においても、公的金融機関や創業支援機関と連携し、創業までの手厚
い支援を行う。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
セミナー開催回数 |
5 |
6 |
7 |
8 |
8 |
8 |
事業計画策定事業者数 |
5 |
10 |
15 |
20 |
25 |
30 |
創業支援者数 |
5 |
10 |
15 |
20 |
25 |
30 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
セミナー開催回数 |
6 |
9 |
○ |
7 |
12 |
○ |
事業計画策定事業者数 |
10 |
38 |
○ |
15 |
24 |
○ |
創業支援者数 |
10 |
19 |
○ |
15 |
19 |
○ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
セミナー開催回数 |
8 |
8 |
○ |
事業計画策定事業者数 |
20 |
33 |
○ |
創業支援者数 |
20 |
5 |
☓ |
【実施した事業内容】
(1)各種講習会・セミナーの開催
経営者・管理者・若手新人社員等幅広い層を対象に実践的なセミナーを開催した。「企業活力向上セミナー(3
回シリーズ)」をはじめ、事業計画策定に役立つ様々な講習会・セミナーを開催した。
(2)「小規模事業者持続化補助金」等への積極的な取り組み
国の重点事業「小規模事業者持続化補助金」に積極的に取り組んだ。経営指導員は小規模事業者と一体として
取組み、事業計画を作り上げ、販路拡大等への取り組みを支援した。21業所が申請、8事業所が採択を受けた。
(3)ワンストップ創業相談窓口の設置
坂出市より認定を受けて、ワンストップ創業相談窓口を設置し、経営指導員が創業に至るまでワンストップ支
援を実施した。また、地元金融機関・日本政策金融公庫と連携し、創業資金のあっせんを実施した。
【今後の課題】
セミナー開催回数及び事業計画策定事業者数については数値目標を達成することができたが、創業支援者数については目標数値に及ばなかった。
事業計画策定については、昨年度に引き続き持続化補助金などの申請及びマル経融資における推薦書作成に係る事業計画支援が多数を占めた。ただし、傾向として高度な経営分析に基づく事業計画策定を要求する事業所が増加しており、今後は3~5年の売上・利益目標を見据えた本格的な事業計画(中期経営計画)策定を支援する体制構築が課題となる。
創業支援については、坂出市より認定を受けて「ワンストップ創業相談窓口」を設置して、坂出市及び創業支援機関と連携して手厚い支援を実施した。特定の課題を抱えて来所した創業希望者を捉えて、複数の視点よりアドバイスを実施した結果5事業所が創業を果たした。数値目標は達成することができなかったが、今後も金融支援にとどまらず、分厚い支援をするよう心掛ける。同時に創業支援者数を増加させるために、創業希望者を集めたセミナーの復活なども検討する必要があると考える。
4.事業計画策定後の実施支援に関すること
作成した事業計画が向こう3~5年のアクションプランとして十分に機能するとともに、金融機関への融資申込時等に活用できる実現可能・妥当な計画であることを担保するためのフォローアップを行う。第二創業(経営革新)支援については、小規模事業者の各発展ステージに応じた伴走型の支援を実施する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
第二創業支援者数 |
15 |
15 |
25 |
25 |
30 |
30 |
フォローアップ件数 |
10 |
20 |
30 |
40 |
50 |
60 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
第二創業支援者数 |
15 |
18 |
○ |
25 |
16 |
△ |
フォローアップ件数 |
20 |
18 |
△ |
30 |
16 |
△ |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
第二創業支援者数 |
25 |
8 |
☓ |
フォローアップ件数 |
40 |
9 |
☓ |
【実施した事業内容】
(1)事業計画策定事業所へのフォローアップ
「小規模事業者持続化補助金」の採択先に対して、策定した事業計画が中期経営計画として実効性を持つとともに、補助事業を適正に実施するための支援を行った。
【今後の課題】
第二創業支援者数は①持続化補助金採択者、②経営再生計画支援者を合計したものである。その他、窓口及び事業所訪問時に随時、経営革新・事業転換・多角化・事業縮小等の相談を受けて支援を行っているが、具体的な事業計画策定にはつながっていないため、件数にはカウントしていない。今後は、補助金や融資実行目的だけでなく、補助金採択後や融資実行後の事業実施のフォローを強化していきたい。
フォローアップ件数、第二創業支援者数ともに目標件数をクリアすることはできなかった。今年度は、第二創業(新事業分野創出)や事業計画策定者のフォローアップにとどまらず、喫緊の課題である事業承継に取り組む事業者への支援、IT導入・活用支援、働き方改革推進支援などを通じて、経営分析・事業計画策定支援からフォローアップに至るまでワンストップ支援に取り組み、件数獲得につなげていきたい。
「小規模事業者経営発達支援融資制度」の活用については、日本公庫と連携して利用者アップに取り組んでいるが、今年度については融資実行には至らなかった。30年度は再び利用者アップに取り組み、小規模事業者の第二創業支援に寄与したいと考える。
5.需要動向調査に関すること
小規模事業者が販売する商品・製品・サービスについての重要の動向を調査・分析することにより、小規模事業者に対する経営分析・事業計画策定支援に活用する。
【目 標】
支援内容 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
調査件数 |
0 |
12 |
48 |
48 |
48 |
48 |
【実 績】
支援内容 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
調査件数 |
12 |
6 |
△ |
48 |
5 |
× |
支援内容 |
3年目 |
実績 |
評価 |
調査件数 |
48 |
0 |
× |
【実施した事業内容】
(1)経営指導員による需要動向調査・分析
専門家・専門機関と連携して、支援要請のある小規模事業者の属する業種・業態の市場・需要動向調査を行
った。
【今後の課題】
目標数値を達成することはできなかった。そもそも需要動向調査(マーケティングリサーチ等)の依頼自体が
少なかった。調査結果は報告書として書面化して依頼先に配布することが要件となっている。今後はこの点も徹
底することが必要である。
経営者は、自社の課題については十分認識していると考えられるので、マケプラなどを活用した商圏分析や、
専門家派遣のスキームを活用して、事業所の調査に対する需要を掘り起こす努力を行っていきたい。
6.新たな需要の開拓に寄与する事業に関すること
産業のまち・坂出をアピールし、小規模事業者の有する隠れた地域資源の掘り起し・PRを実施するため、
イベント(展示会等)を開催する。また、専門機関等と連携して、小規模事業者のホームページ作成・リニュ
アルの支援等を行い、ICTを活用した販路開拓の支援を実施する。小規模事業者の海外進出を支援する。
【目 標】
項 目 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
展示会開催回数 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
来場者数 |
3,000 |
4,000 |
5,000 |
6,000 |
7,000 |
8,000 |
バイヤー来場者数 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
出展支援者数 |
30 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
30 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
【実 績】
項 目 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
展示会開催回数 |
2 |
1 |
△ |
2 |
3 |
○ |
来場者数 |
4,000 |
9,000 |
○ |
5,000 |
20,000 |
○ |
バイヤー来場者数 |
2 |
0 |
× |
2 |
4 |
〇 |
出展支援者数 |
30 |
27 |
△ |
35 |
37 |
〇 |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
30 |
17 |
△ |
35 |
40 |
〇 |
項 目 |
3年目 |
実績 |
評価 |
展示会開催回数 |
2 |
2 |
○ |
来場者数 |
6,000 |
30,000 |
○ |
バイヤー来場者数 |
2 |
50 |
○ |
出展支援者数 |
40 |
21 |
△ |
ICTを活用した販路開拓支援者数 |
40 |
57 |
○ |
【実施した事業内容】
(1)「さかいで産業展示交流フェア2017」等の開催
29年度で6回目となる「さかいで産業展示交流フェア2017」を開催した。地域内の事業所がもつ優れた商品(製品)・技術・サービスを内外にPRし、出展者同士の交流(ビジネスマッチング)の場を提供することで販路開拓や優秀な人材の確保、地域活性化につなげることを目指した。出展者のうち小規模事業者は17事業所。また、高松で開催された「香川産業マッチングフェア」に出展した。出展者のうち小規模事業者は3事業所。
(2)小規模事業者のICT導入・強化の支援
ICTを活用した販路開拓を支援するためのプラスIT活用セミナー(計2回)を開催した。また、「IT導入補助金」の活用を推進することで、大企業・中堅企業と比べて相対的に劣位にある小規模事業者の生産性向上・効率化支援に取り組んだ。
【今後の課題】
平成24年度にスタートした「さかいで産業展示交流フェア」は、地域内の事業所の販路開拓・売上アップを目指して開催しているが、当地恒例の目玉イベントとして定着している。小規模事業者にとって、自慢の商品・サービスをPRする格好の機会となっている。今年度は、バイヤーの来場もあり、出展者との情報交換を実施した。
これ以外に全国展開を目指す事業者を支援すべく、高松で開催される展示会の出展支援を行った。
また、小規模事業者にとって最重要課題の一つであるIT導入・活用支援について、「IT導入補助金」の活用を積極的に推進した。今年度は、大企業・中堅企業と比べて相対的に劣位にある小規模事業者の生産性向上・効率化支援を図り、格差是正に向けた取組みを推進していきたい。同時に、IoTなど最新の技術を活用して小規模事業者のバックオフィスの効率化の可能性も追求したい。同時に、IT活用により本事業の眼目である売上増・販路拡大につなげていきたい。
Ⅱ.地域経済の活性化に資する取組
1.地域活性化事業
JR坂出駅前・商店街等を会場に、小規模事業者が主体となる定期的なイベント(自社PRの場)を開催し、
地域経済活性化を目指す。地域の多様な機関が参加し、地域の方向性を関係者間で共有するための意見交換会
等を実施する。
【目 標】
項目 |
現状 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
開催回数 |
15 |
15 |
15 |
15 |
15 |
15 |
出展者数 |
20 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
来場者数 |
1,000 |
1,200 |
1,400 |
1,600 |
1,800 |
2,000 |
【実 績】
項目 |
1年目 |
実績 |
評価 |
2年目 |
実績 |
評価 |
開催回数 |
15 |
16 |
○ |
15 |
23 |
○ |
出展者数 |
30 |
53 |
○ |
35 |
50 |
○ |
来場者数 |
1,200 |
2,400 |
○ |
1,400 |
3,000 |
○ |
項目 |
3年目 |
実績 |
評価 |
開催回数 |
15 |
27 |
○ |
出展者数 |
40 |
68 |
○ |
来場者数 |
1,600 |
2,400 |
○ |
【実施した事業内容】
(1)駅近「さかいで楽市楽座」の開催
毎月1回、JR坂出駅周辺を会場に、「市で賑わいがあるまちづくり」をテーマに、当所会員事業所・起業予定者等より出展者を募り、イベントを開催した。
(2) 「バルin SAKAIDE」の開催
市内小規模事業者(特に、飲食業)の利用拡大を目的として「バルin SAKAIDE」を計3回開催した。
(3) 「第4土曜デー」の開催
恒例の「第4土曜デー」も12回開催して、中心商店街の活性化に取り組み、中心市街地のにぎわい創出に寄与した。
【今後の課題】
当所青年部が中核となって、精力的に様々なイベントを実施した。特に、3回目となる「バルin Sakaide」は夏を彩る大人気イベントとして定着し、市内外から多くの来客数を獲得した。
目標数値は概ね達成したものの、事業が小規模事業者の販路拡大に結び付いているかどうかは引き続き厳密な検証が必要である。地域活性化という当所の使命(ミッション)の中で、本事業の目標(小規模事業者の販路拡大)をいかに織り込んでいくか。定量的な評価指標をいかに確立するかが課題である。
Ⅲ.経営発達支援事業の円滑な実施に向けた支援力向上のための取組み
Ⅰ.他の支援機関との連携を通じた支援ノウハウ等の情報交換に関すること
地域金融機関、連携支援機関、日本政策金融公庫及び専門機関・専門家と連携して、当所が収集・分析した
情報を提供するとともに意見交換を実施し、連携体制の確立を図る。
【実施した事業内容(会議への出席)】
①商工会議所中小企業相談所長会議
②日本公庫(国民生活事業)担当者との勉強会
③小規模事業者経営改善資金貸付団体連絡協議会への出席
④かがわ産業支援財団支援者会議
⑤創業支援機関担当者連絡会(坂出市)
【今後の課題】
他の支援機関との連携の中で、経営発達をテーマとした意見交換や情報収集を充実させることが課題である。特に、創業支援においては坂出市や金融機関との協働が必須の課題である。
2.経営指導員等の資質向上等に関すること
日本商工会議所・香川県商工会議所連合会が主催する研修への参加に加え、経営発達計画のマネジメントを
行うことを目的に、支援担当職員の支援能力の向上を図る。
【実施した事業内容(研修等への参加)】
①スーパーバイザー事業
②香川県下6商工会議所経営支援事業担当職員研修会
③商工会議所経営指導員全国研修会(支援力向上全国フォーラム)
④経営指導員向け小規模事業者支援研修(個社支援型・地域支援型)
⑤支援担当職員の自主勉強会
⑥経営安定対策事業研修会
【今後の課題】
毎年恒例の支援担当者向け研修会のみならず、小規模事業者支援に特化した研修会にも積極的に職員を派遣し
た。職員の自主勉強会を開催して、IOT等(人工知能)の支援ツールを活用した最新の支援手法の習得に努め
た。特に、中堅支援担当者が専門家(岩倉中小企業診断士)のアドバイスを受けながら、実際に小規模事業者の
経営診断を行う「スーパーバイザー事業」に取り組み、2事業所に対して、本格的な経営診断と経営上の提案を
行った。
既述の通り、管内小規模事業者より当所(経営支援担当者)に対して、「ものづくり等補助金」申請支援や「経
営力向上計画」策定支援、「経営革新計画」認定支援など極めて高度な経営分析・事業計画策定が必須となる支援
の要請が増加している。本事業の根幹となる経営分析・事業計画策定支援を果たすためにはこれらのニーズに対
して対応することのできる体制を整備することが必要となる。支援担当者の能力向上に取り組むと同時に、地域
金融機関や専門家(税理士や中小企業診断士を想定)との連携強化に取り組むことが必須である。同時に、今年
度は「伴走型小規模事業者支援推進事業補助金」を活用して、国より「経営革新等支援機関」の認定を受ける取
組みも実施していく予定である。
また、中小企業・小規模事業者にとっても喫緊の課題である事業承継、IT導入・活用支援、働き方改革推進
などについても情報収集を行い、支援を強化する体制を強化していきたい。
まとめ
当所は、新坂出商工会館への移転を機に、新会館が地域経済発展の拠点・情報発信基地としての機能を発揮して事業所に親しまれ、地域商工業の振興・地域社会の発展に貢献できるように努力して参りたい。今年度の事業計画の柱の一つである中小企業(小規模事業者)の活力強化に積極的に取り組んでいく。
現在、企業を取り巻く経営環境は厳しさを増すと同時に、課題は多様化・深層化する傾向にある。当所は中小企業・小規模事業者の経営実態を把握するために3回にわたりアンケート調査を実施してきた。さらに真の経営課題・当所に対するニーズを把握するために、きめ細かな事業所への巡回訪問(御用聞き型企業訪問)を徹底していく。双方向でのコミュニケーションを徹底することにより、事業所の直面する課題をつかんで、きめ細かくスピード感を持って取り組んでいきたい。「共に走り、解を出し、成果を上げる」を心がけていく。
今年度、事業の目標数値を達成できなかった項目については、その原因を追究して30年度の事業実施に反映していきたい。経営支援を担当する経営指導員・経営支援員の連携を今以上に緊密にして、「情報共有・見える化」を徹底していきたい。
有識者の意見
Ⅰ.経営発達支援事業の内容
●経営状況の分析に関すること
・経営支援担当の職員の方の苦労は身に染みて分かります。全事業者を訪問しても、全事業者の役に立つわけでは
ない。本当に支援を欲している事業所はその一部ということになる。それでも事業所の支援ニーズをつかむために何かしらの発信は続けていく必要はあると思う。御用聞き型巡回を通じて、「何か困りごとはありませんか」と聞いて回ることでコミュニケーションを図ることが大切。その先に問題の解決がある。その手段として、セミナーやバルなどのイベント実施ということになってくる。様々な手段を講じることで事業所の問題解決につなげていってほしい。
・巡回訪問に関して、達成可能な件数(ノルマ)なのか。全事業者を訪問するのであれば、1日に10件くらい訪問しないと達成不可能な件数である。何が目的なのか。例えば融資実行なのか、補助金受給なのか。巡回訪問はあくまで目的達成のための手段である。目的達成のプロセスを評価することが必要なのではないか。金融機関も結果主義からプロセス重視に比重(評価体系)が移りつつある。事業計画策定件数が最終目標ではなく、計画策定を通じて達成するべき目標に到達するプロセスを見た方がいい。
●事業計画策定支援に関すること
・商工会議所はどうしても既存の事業支援が中心になると思うが、今後は新規創業支援にも力を入れていくことが必要ではないか。既存の企業は年々年を取り、現実に後継者不足から辞めていく事業所も多い。今後は創業支援セミナーのような創業支援希望者の動機づけも必要だと思う。
・創業支援の中で5社が実際に創業に至っているが、28社は創業に至っていないということで、その理由が気になるところである。真因は何か。
・事業計画策定はもちろん必要だが、そこに力が入りすぎて、現場が見えなくなっているのではないか。机上の計画策定に注力しすぎるのではなく、企業訪問に軸足を置くことが大切だと思う。経営者は常に不安を抱えている。相談者が来てくれれば、力強く感じると思う。何も用事がなくても訪問するというスタンス(御用聞き型)がよいのではないかというのが実感である。
●事業計画策定後の実施支援に関すること
・第二創業支援者数については、16件の実績がある。香川県全体を見ても、経営革新計画認定が年間10件程度
しかなく、近年は事業縮小や事業転換の案件が多いと思われる中で、(補助金申請数などをカウントに入れているとしても)よく健闘している。目標設定のハードルが高い中でよくがんばっているが、実現可能な数値に置換することができるのであれば、その方が(見栄えが)よいのではないか。
Ⅱ.地域経済の活性化に関すること
●地域活性化事業
・地域経済の活性化については、他市と比較してもよく活動ができていると思う。イベント数も参加者数も多いと感じる。
・地域活性化事業(特に「バルin SAKAIDE」)の販路拡大に対する寄与の検証が必要であるということだが、具体的に(定量的な)検証ができているかどうか気になるところである。
Ⅲ.経営発達支援事業の円滑な実施に向けた支援力向上のための取組み
●他の支援機関との連携を通じた支援ノウハウ等の情報交換に関すること
・地域金融機関との連携(ネットワーク推進)について。金融機関も連携を望んでいるが、現実的にうまく進んでいない。連携の推進について、一緒に考えていかなければならないと考えている。
・連携に関して。小規模事業所が地域で存立していくためには、様々な課題があるはずである(開業資金のあっせん、販売先の開拓、税務申告、経営内容の診断など)しかし、創業前後で、地域に馴染みのない方はどこに相談して行けばいいか分からないはずである。そういう方のために、これまで経営支援に携わってこられた経営指導員の方の目利きで、「つなげていく」ことができると思う。全てを商工会議所で完結する必要はないのであって、専門家への引継も大切な仕事なのではないか。(ハブとしての機能を果たすことができる存在である)
・各事業間の有機的なつながりはあるのか。例えば、御用聞き型巡回やアンケート調査で人手不足が問題になっていることが分かれば、そのテーマでセミナーを開催する。経営分析から事業計画策定につなげていく。フォローアップを実施する。一連の支援活動の中で、各事業間のつながりを大切にすることが必要であり、効果的ではないか。広く浅く単発の支援をするよりも、やる気のある方に的確な深い支援をしていくことが結果的には効果大であると考える。
●経営指導員等の資質向上等に関すること(その他自由意見を含む)
・目標設定の妥当性はもう一度検証・整理した方がいいのではないか。何を狙っているのか。何ができればOK(目標達成)ということになるのか。せっかく頑張っているにもかかわらず、目標の立て方が原因になってできていないように見えるのは、もったいないと感じる。例えば、アンケート調査にしても回数をこなすことが目的ではなく、どれだけニーズを拾うことができるかが大切なはずである。
・限られた人員の中で、よく頑張っていただいていると感じている。
坂出商工会議所
「経営発達支援計画」事業評価会議
1.日 時 平成30年7月26日(木)10時~
2.場 所 坂出商工会館4F403会議室
3.議 題 ①平成29年度経営発達支援事業について
②評価・ご意見
③その他
4.出席者 12名(事務局5名を含む)
川滝 浩嗣 坂出商工会議所専務理事(座長)
三野田耕治 坂出市商工特産係長
和田めぐみ 日本政策金融公庫高松支店支店長兼国民生活事業統括
大森 和幸 四国税理士会坂出支部長
宮武 幸司 百十四銀行坂出支店長
曽我部昌弘 高松信用金庫坂出支店長
古枝 直輝 香川銀行坂出支店長
(事務局) 5名 (敬称略・順不同)
坂出商工会議所 三役会
1.日 時 平成30年8月1日(水)10時~
2.場 所 坂出商工会館4F会頭・副会頭室
3.議 題 ①平成29年度経営発達支援事業について
②評価・ご意見
③その他
4.出席者 5名(会頭、副会頭2名、専務理事、事務局長)
①平成29年度経営発達支援事業について
資料の「事業評価書(案)」により、平成29年度事業実施状況について詳細に説明した。正副会頭からは、評価会議での評価を踏まえ、「事務局はよく頑張っている。引き続き、指摘された事項を踏まえて30年度事業に取り組んでほしい」と指示を受けた。
※坂出商工会議所 経営発達支援計画評価書(平成30年7月) (PDF形式)[wpdm_file id=129]